どうすれば良いかなんて……解らないけど……。
美沙は、平気のようだった。
葉月は注がれる赤ワインの色を確かめながら、緊張してしまった。
「ふふ。
「あ、有り難うございます」 和之に差し出されたグラスを持って、葉月はそっと微笑みながら傾ける。
言う事が違うね」 昭雄が満足そうに微笑んでくれた。
『もう一度、距離を縮めれば……』 きっと……昔の華があった時代と変わらぬ夫妻仲が取り戻せると思った。
そう深く拘らないところが、どうやら彼の本質のようだった。
「なんだか、お嬢さんと和人。
拭いてあげるから、じっとしてなさい?」 8 9お嬢様「あら。
外の世界で自由に走り回る貴方達のことが、羨ましくて仕方が無かったんです! でも、ただそれだけ。
背 そむ けてしまっては、なにも見えませんから。
モデルさんのようですね。
「メシ、まだぁ?」 美沙の料理仕事が一段落したところで、リビングで葉月は彼女のセッティングを手伝っていると 『小僧君』が、やって来たのだ。
「私はね……『弟』が一人いるの」 「そうですか……」 「勿論、隼人より年上だけどね? もう、結婚して両親と同居しているわ」 「従兄は結婚していませんが、女の従姉の方は二人とも結婚して鎌倉を出ています」 そんなお互いの家庭環境を世間並みに紹介し合う会話。
良かったわね? 和人」 ニッコリと優しそうに微笑んだ母親の笑顔に、和人はまた驚いたのか硬直していた。
今時点だって隼人は『和之』を乗り越えているほどの『風格』は比べてしまうとないのだから。
「…………」 そう多くは喋らない恋人の伯父だが……。
嬉しいのだが、複雑だった。
「うわぁあ!!何すんのよぉ!?…まったく…人が寝そべっている上に寝そべってくるだなんて…どういう神経したらそうなるのよ……。
(和人君の為にした事は、隼人さんには見せちゃいけないことだったって事?) 葉月は、先程自分が巻き起こした『騒ぎ』を最初から最後まで思い返した。
「今は、白髪混じりの還暦をこえちゃったお爺さんになりかけているけど……」 美沙が急に哀しそうに俯く。
(……) 頬杖をして一人考え込んでいると…… 「あら? 葉月さん……そんな所で」 キッチンの扉から出てきた美沙に見つけられてしまって、葉月は慌てて立ち上がった。
カゴの中が…屋敷の中が…どれ程安全だったかって……。
起立匡史 きりつただし 時代遅れの風紀委員。
わざわざ人通りのない道の水路に。
私はワイン云々は良くは知りませんが……父が好きなものですから……」 昭雄がレディーファーストで葉月の次には美沙に注ぐ。
また、ため息をついて階段を見つめた。
貴方も来てみなさいよ~。
また、「可愛いお婆さまとお嬢様や」「レディちゃん」「乙女み深し」といったコメントも見られましたが、実はこの猫ちゃん、男の子なんです。
が集まるやにおいては、稀にが紛れ込むこともあるが、そのような場合は取り乱さずやに帰るよう宥めるのがとしての心得である。
「ちょっとだけ」 和人に向けられた伯父が差し出すワインボトル。